事例紹介

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一般民事一般民事の事例

※守秘義務の関係で、一部内容を変えて記載している場合があります。

※掲載した事例は、当時の法令や社会情勢に基づいた参考事例であって、
その後の法令改正や個別の事情により、結論が異なる場合があります。


11 公共事業の入札において違法な指名回避があったとする判決の確定により地方公共団体が建設業者に支払った損害賠償金を、国家賠償法に基づき当時の首長等に求償請求し、認められた事例

判例時報第2478号に掲載

裁判の経緯

一審判決は指名回避の違法性は認めたものの、地方公共団体の職員が当時の首長等に忖度して指名業者推薦書を作成した可能性も否めないとして、地方公共団体が当時の首長等に対して提起した求償金請求を棄却しました。
控訴審(二審)は、原判決を変更し、当時の首長等に対する請求を認めました。上告審(三審)においても最高裁判所は控訴審の判断を維持し、判決が確定しました。


弁護士の対応

控訴審に当たり当事務所は、指名回避に当時の首長等が関わっていたことを立証するための事実調査に焦点を絞り、専属班を編成して全ての事件記録を精査し直しました。また、裁判官出身顧問の加入を得て、勝訴を得るための法律構成を練り上げました。

判決の意義

公権力を行使する公務員が職務を行うについて、故意または過失で他人に損害を与えたとき、国や地方公共団体は、国家賠償法に基づき当該公務員に代わって被害者に賠償する責任を負いますが、当該公務員が被害者に対する個人責任を負うことはなく、当該公務員に故意または重大な過失がある場合にのみ、国や地方公共団体が当該公務員に求償請求することができます。
ところが、当該公務員が懲戒免職になったりして賠償する資力に欠けることが多いなどの理由からか、実際には求償請求は殆ど行われていません。
しかしながら、国や地方公共団体が支出する賠償金の原資は税金であり、負担するのは国民(住民)です。地方公共団体の首長による職権濫用の違法行為に対する求償権行使の懈怠を追求する住民訴訟も増えてきましたが、本件は地方公共団体自らが国家賠償法に基づく求償権を行使して訴訟提起した結果、高裁および最高裁で請求が認められた稀少な事例です。


10 保険給付の免責事由にかかる解釈につき保険会社と交渉し、依頼者が破産に至る事態を防止した事例

来所の経緯

依頼者のご家族は転勤のため地方へ転居したのですが、うっかりミスから転居先の集合住宅で漏水事故を起こしてしまいました。外出中であったため対処が遅れ、階下の入居者へも被害が及びました。ご家族は保険に入っていたものの、被害額が保険の給付額を大幅に上回ることが判明し、連帯保証人となっていた依頼者は自己破産を覚悟して当事務所に来所されました。


弁護士の対応

依頼者は、ご自身が加入していた保険の特約を利用して賠償金の一部に充てようと考えていましたが、保険会社から「免責事由に該当するので保険金を支払えない」旨の回答があったとのことでした。
当事務所の弁護士が保険約款を確認したところ、免責事由の解釈に幅があり、また、担当者の初期対応にも曖昧な点があったため、保険金の支払いを求めて再度交渉することにしました。

解決内容

当事務所の弁護士は、早速保険会社との交渉を開始しましたが、交渉は難航し着地点の見通しが立たなかったため、裁判外で紛争を解決する第三者機関に調停を申し立てる手続きを併行して行いました。当事務所の弁護士は粘り強く交渉を重ねる一方で、第三者機関を納得させうる資料を取り寄せて書面を作成して提出しました。
その結果、保険会社との間で和解が成立し保険金が支払われ、依頼者とそのご家族は保険金で被害額を弁償することができました。


9 隣家の樹木が自宅敷地に越境しないよう、切除義務を課した事例

来所の経緯

依頼者の隣地の住人が、境界線上にある樹木の手入れをしなかったことから、枝葉が依頼者の土地に越境し、堆積した落ち葉の処理に困っていました。
依頼者は、既に何回も隣地の住人に、枝葉の切除を頼みましたが、対処してもらえなかったとのことで、良い方法はないか相談するため、当事務所に来所されました。


弁護士の対応

隣地の住人が要求に全く応じない以上、訴訟を提起して、裁判所から隣地の住人に対し、枝葉を切除するよう命じてもらうことが早期解決の方法であると提案しました。
また、枝葉はこれからも伸びていくものであるから、このようなトラブルが二度と起こらないような方策を考えることも必要である旨説明しました。

解決内容

今後、隣地の住人が樹木の枝葉を依頼者の土地に越境させないよう、隣地の住人に対し、樹木の枝葉の切除を請求し、併せて、依頼者がこれまでに被った損害の賠償を求める訴訟を提起しました。残念ながら、後者の請求は認められませんでしたが、前者については、隣地の住人が、境界線上にある樹木の手入れを毎年業者に委託する旨の和解に至り、枝葉が依頼者の土地に越境してくることを大幅に低減させました。


8 業務委託契約の無効を主張して、業務委託手数料の返還を受けた事例

来所の経緯

依頼者は、ある会社Aとの間で業務委託契約を締結し、業務委託手数料を支払いましたが、期待した業務の提供を受けることができませんでした。そこで、業務委託料の返還を受けたいとして、当事務所に来所されました。


弁護士の対応

業務委託契約書には、業務に着手した後は、返金に応じないとされていることから、当該業務委託契約書を取り消すことが可能か否か、交付された複数の書類の整合性やインターネット上の会社Aのホームページなどを検討し、契約書の矛盾点を明らかにすることとしました。

解決内容

調査の結果、会社Aが作成した各資料の記載と契約内容が一致していないこと、契約書とインターネット上の説明が矛盾していることなどが判明したため、錯誤無効を主張することとし、会社Aに、委託手数料を返還するよう求める通知を出しました。会社Aは返還を渋っていたため、訴訟を提起したところ、支払った委託手数料の約6割を取り戻すことができました。


7 アルバイト先で発生した事故につき、アルバイト先の賠償責任が認められた事例

来所の経緯

依頼者は、アルバイト先での作業中に重傷を負ってしまいました。依頼者の御両親は、依頼者の将来を案じ、可能な限りの賠償金を得ておきたいとして、当事務所に来所されました。


弁護士の対応

本件事故は、誰の過失により引き起こされたものか、人的な過失か、設備の瑕疵に基づくものかなど、不法行為者を特定するとともに、賠償請求すべき相手を判断するため、事故の状況を把握する必要がありました。そのため、当該作業に携わった複数の人から事情を聴取し、訴訟提起のために、予め、それらの人達の陳述書を作成しておく必要があること、作業現場の状況も今後変わる可能性があるので、写真撮影をしておく必要があることなどを説明しました。

解決内容

受任後、直ちに当該作業に携わった人達と面談して、陳述書を作成し、事故現場へ赴き事故現場の写真を撮影しました。
依頼者には後遺障害が残りましたが、アルバイト先は事故の責任を否定したため、訴訟を提起しました。
裁判では、陳述書や事故現場の写真などを基に、アルバイト先に安全配慮義務違反があったことが認められ、極めて高額の賠償金を得ることができました。


6 飲食店による飲酒の強要につき、飲食店の責任を認めた事例

来所の経緯

依頼者はある夜、繁華街で客引きから、期間限定の格安料金(1時間5000円)で入店できると告げられ、入店しました。1時間が経過して店を出ようとしたところ、男性店員2名が立ちはだかるようにして依頼者を退店させず、延長を強要しました。その結果、依頼者は泥酔し、意識朦朧状態でクレジットカードを使用させられてしまい、カード会社数社から合計100万円以上を請求されたため、当事務所に来所されました。


弁護士の対応

各カード会社からの請求に対し、クレジットカード使用のための売上票に、泥酔した状態で署名等していたことから、意思無能力により無効であること、飲食店の店員が依頼者の退店を妨げていることから、各カード会社との間の契約が消費者契約法により取り消し得るものとして、反論することにしました。
そして、飲食店に対しては、「客に飲食などを控えさせるべき安全配慮義務」に反したとして、損害賠償請求することにしました。

解決内容

各カード会社の請求全てを否定することはできず、一定額を支払うことになりましたが、一方で、飲食店に対する損害賠償請求も認められ、飲食店から40万円の支払を受ける内容の和解が成立しました。


5 加害行為と不登校との因果関係を立証した事例

来所の経緯

依頼者は、友人から執拗な嫌がらせを受けた結果、不登校になってしまいました。嫌がらせをやめさせるとともに、これまでの損害を賠償請求したいとの希望で、当事務所に来所されました。


弁護士の対応

友人が依頼者に今後接近してこないよう、面談禁止条項を取り交わす必要があること、友人の加害行為を詳細に立証し、裁判所に加害行為の存在と不登校との因果関係を認定してもらう必要がある旨を説明しました。

解決内容

依頼者が体調不良を原因に通院していた病院に赴き、医師から体調不良の原因を聞き、医学文献を調査するなどして、友人の加害行為と依頼者の不登校との因果関係を、裁判所に説明しました。
残念ながら、一審では因果関係が認められませんでしたが、控訴審では、因果関係が認められたので、損害賠償および面談禁止条項(違約罰含む)を含む和解を成立させることができました。


4 財産開示手続きにより、貸金の回収に成功した事例

来所の経緯

依頼者は、長年の友人の頼みに応じて、返済期限を定めることなく、合計100万円を貸付けました。
ところが、依頼者がいくら催促しても、友人は一向にお金を返してくれず、賃金の返済を受けるため、当事務所に来所されました。


弁護士の対応

友人が任意の返済に応じないことから、訴訟を提起して判決を得たうえで、友人の所有する財産に強制執行の手続きを取る必要がある旨を説明しました。

解決内容

友人の財産を調査しましたが、友人は不動産や預貯金などの資産を有していませんでした。
そこで、財産開示という手続きを取り、友人が勤務する会社を把握し、同会社を第三債務者とする給与の差押え手続きを取り、貸金の全額を回収することに成功しました。


3 賃借人のペットによる破損修補費用を請求した事例

来所の経緯

依頼者は、所有する住宅を賃借人に賃貸し、その住宅でペットを飼ってはいけない旨を賃貸借契約書に記載しておきました。ところが、賃借人は、契約に違反し、ペットを飼育したため、床などがボロボロの状態にされてしまいました。
被った損害の賠償を求めるため、依頼者は、当事務所に来所されました


弁護士の対応

賃借人に対する損害賠償請求は可能ではあるが、賠償金額は裁判所が認定するので、裁判所が相当だと判断する修補の額、つまり、依頼者が実際に支出した修補費の全額を認めてくれるとは限らない旨を説明し、賃借人に対し訴訟を提起することとしました。

解決内容

一審においては、依頼者の行った修補は過剰であるとして、支出した修補費用よりかなり少額な賠償額しか認められませんでした。
そこで、控訴審においては、不動産会社の協力を求め、依頼者の行った修補が決して過剰でないことを主張・立証したところ、依頼者の支出した修補費用の大部分を賃借人が支払うという内容で和解が成立しました。


2 建築業者との交渉で日照権の補償を確保した事例

来所の経緯

隣地に高層マンションが建設されると聞いた住民から、日照が阻害され、マンションから家屋内を覗かれるおそれや、風や雨水による被害のおそれがあるので、建設を阻止して欲しい旨の相談を受けました。他の法律事務所を訪れたところ、どこも引き受けてくれなかったとのことでした。


弁護士の対応

建設を阻止することは無理であることを伝え、低層階のマンションに設計変更させる、マンションの仕様を変更させて少しでも日照を得る、日照を得ることができないなら日照権等にかかる賠償金を得るとの方針や、目隠しの設置や風水害についての説明もして受任しました。

解決内容

まず、市役所へ出向き、建設確認申請が出されているかを調べ、建設業者と住民との話し合いが終わるまで建設確認を出さないよう要請し、建設業者との交渉を粘り強く行いました。建設業者は、一日も早く話し合いを切り上げようとしましたが、住民の本気の程度を示して、建設業者から建物の高さを低くするなどの譲歩を引き出しました。


1 国有地を時効取得した事例

来所の経緯

依頼者は、遺産分割協議中、自宅敷地に国有地(河川)が含まれていることが分かりました。国に相談したところ、払い下げ手続を取るよう言われましたが、現況は普通の宅地の一部であり、これまでも自宅敷地として管理していたのに、今更、払い下げ手続きをして払い下げのためのお金を払わなければならないのは納得がいかないとして、当事務所に来所されました。


弁護士の対応

国有地の時効取得を検討することとし、これまでの国有地(河川)の状態、依頼者の管理の状況、近隣住民の認識等を踏まえ、公図上の国有地が現場のどの土地なのかを確定したうえ、法務局が時効取得を原因とする登記を了承するよう手続きを進める旨説明して、受任しました。

解決内容

近隣住民の協力を得て、国有地を確定し、従前の管理の状況を、証拠を摘示しながら明らかにしたうえ、訴訟により判決を得て登記しました。なお、判決の書き方如何では、法務局が登記することを了承しない場合があるので、事前に法務局に照会し、回答を得ていました。

栄総合法律事務所

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