【第6回】
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親権者離婚
離婚することになりました。子どもの親権を親のどちらが取るかは、どうやって決まるのですか?
離婚することになりました。離婚するに当たり、2人の間の3歳の子どもの親権を巡り、いずれも親権者になることを希望して、話し合いがつきません。どうしたらよいですか? |
夫婦の間に未成年の子がいて、父母(夫婦)の共同親権に服している場合において、父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければなりません(民法819条1項)。
協議が調わない場合、親権者の指定は離婚要件なので、親権者の記載のない離婚届は受理されず、離婚自体ができません。そこで、家庭裁判所に宛てて、離婚とともに親権者の指定などを求める調停を申し立てる必要があります。
調停においてもなお、離婚は合意できても親権者の協議が調わない場合には、家庭裁判所は、父または母の請求によって、協議に代わる審判をして、父母の一方を親権者と定めることができます。その他離婚条件(財産分与、慰謝料等)についても協議が調わないため離婚の合意自体ができず、調停が不成立になる場合には、夫婦いずれかが離婚訴訟を提起して、裁判所が親権者を指定することとなります。
裁判所による親権者指定に当たっては、親の扶養能力、子の年齢・発達の程度、従前の監護状況(生活史)、監護能力(仕事、収入、居住・生活の環境、家族構成、監護補助者の有無)、監護意欲、子への愛情、子の意思、離婚責任など諸事情を総合考慮して、父母いずれを親権者とすることが子の利益、福祉になるかとの観点から判断されることとなります。家庭裁判所調査官が、裁判官の指示により、父母、子に面接するなど調査して、必要な情報を収集することもあります。
一般的には子の発達段階に即して、乳幼児期(3歳位まで)には母性優先、幼児期(就学前まで)には監護(監護者・養育に携わった者)の継続性、小学校時には社会環境(学校、友人等)も含めた監護の継続性(高学年になると子の意思も)、中学校以上になると子の意思の優先といった基準から判断されます。母親が親権者に指定されるケースは多いかもしれませんが、それは「母親だから」なのではなく、以上の判断基準が基本にあることは知っておくべきでしょう。