【第16回】
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損害賠償請求親の監督義務
中学生の息子が、友達と旅行に行きたいと言っています。もし、旅行先でトラブルを起こしたら、親の責任はどうなるのでしょうか?
中学生の息子が、友達と旅行に行きたいと言っています。もし、旅行先でトラブルを起こしたら、親の責任はどうなるのでしょうか。 |
民法712条では「未成年者は、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」と規定されています。「弁識するに足りる知能」とは、善悪の判断のことで、善悪の判断ができない幼い子どもには、責任を負わせないということです。
さて、中学生は善悪の判断がつくのでしょうか?
裁判例によれば、善悪の判断ができるかどうかの境目は、12歳前後とされています。中学生といえば、12歳前後となるため、個々の事例で考えなければなりません。
さて、親はどういう場合に責任を負うのでしょうか。
民法714条で、未成年者が賠償責任を負わないときに、親が監督義務者として、子どもに代わって責任を負うこととされています。また、親が子どもの監督を怠っていたことが原因で事件が起きた場合も、親が責任を負います。
例えば、子どもが万引きをする癖があるのに、十分な注意をしないまま旅行に行かせたり、中学生の集まる場所で、けんかなどが始まる恐れがあるのに、その場所に行かせた場合は、十分な予防措置をとらないと監督義務違反で親に責任が生じます。
日ごろの子どもの生活をみて、善悪が分かるようであれば、旅行に行かせても大丈夫でしょう。でも、子どもを信用して自由にさせていたというのは、監督義務を怠っていることになるので、定期的に連絡をさせるなどの十分な監督をしましょう。