こんな時どうする?

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【第8回】

  • 交通

    後遺障害症状固定

    交通事故による首の痛みが治っていないのに、加害者側保険会社から治療費の支払いを打ち切ると言われてしまった!


Q 交通事故で負傷し、頚椎捻挫(むち打ち)の診断を受けて、これまで6か月間ほど、病院と整骨院に通院して治療を続けてきたのですが、ここにきて相手方の保険会社が「治療費の支払いを打ち切りにします。」と通告してきました。まだまだ痛みがとれないのですが、どうしたらよいのでしょうか?

ケガの治療は、症状がなくなること(治癒)を目指して行うものですが、ある程度の期間を経過すると、「治療しても症状がよくならない。」「治療した直後は症状が軽くなるが、少しすると元の症状に戻ってしまう。」といった状態に陥ることがあります。このように、治療効果が顕著には認められなくなった状態について、損害賠償においては、「症状固定」という言い方をして区切りをつけ、傷害に対する賠償(治療費、休業損害、傷害慰謝料等)は終了として、症状固定時に残る症状の内容、程度に応じて、後遺障害としての賠償(後遺症慰謝料、逸失利益)を検討する段階(通常は自賠責保険の等級審査を受ける)に移ります。

「症状固定」という言い方は、賠償上の用語であり、医学用語ではないので、医師によっては治療を続ける必要があるとおっしゃる方もいます。確かに、時間をかけて治療していけば、やがて症状は良くなっていく場合もあるのでしょうが、賠償としては、顕著な治療効果が認められなくなった段階で区切りをつけることとされています。

なお、賠償における「後遺障害」とは、一生残るもののほか、数年間残るであろうといったものまでをも含む、幅広い概念です。

もっとも、どの時点をもって「症状固定」とするかは難しい問題です。一般的には、頚椎捻挫で、画像検査(レントゲン、CT、MRI等)により明確な負傷部位の特定(所見)がない場合には、医学的見地から、3か月から6か月程度が目安とされています。ただし、当該交通事故の状況、その人の身体の状態等の諸条件により、今後、治療効果がどの程度見込まれるかは異なるはずですから、医師の意見を十分に聞くことが大切です。

医学検査により治療見込みが説明されるのであれば、それに沿った治療と、これに対応した賠償がなされるべきでしょう。保険会社としても、病院に照会をして医師の意見を聴取した上で、賠償の方針を決めていることが通常です。

ご相談の保険会社の見解は、こうした一般的な賠償実務を踏まえてのものと思われますが、当該事案に妥当するかは、個別具体的な検討が必要です。

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